皆さまから寄せられたお葬式に関するさまざまなご質問とその回答を
Q&A形式でまとめました。
「葬儀」とは死者をあの世へ送るための宗教儀礼です。「告別式」は、故人に対して参列者や会葬者の方がお別れを行う儀式というとで、厳密には同じ意味ではありません。しかし、昨今では「葬儀告別式」といった表現が多くなっています。本来別々に行っていた儀式を一緒に行うことが慣例になってきています。
戒名は仏門に帰依されている方の法名を指します。戒(仏弟子としてのいましめ)を授かった方に与えられるものなので、結果として、その権限を認められたお寺さんしかつけることができないことになります。
戒名のつけ方には細かな作法があり、宗派によっては使わない字があります。ですから、ご自分でつけられた戒名を使いたいと申し出ても、破調であればお寺さんからお断りされることがありますので、戒名の考案に関わりたいということであれば、生前にお寺さんに相談して、あらかじめ授戒しておくのがよいでしょう。
もちろん、仏教徒でないのであれば、死後に名乗りたい名前は自由に決めてよいと思います。
お葬式のことについて遺言を残していたとしても、遺族に履行する義務はありませんが、意思を汲み取って叶えて差し上げることは、ご本人にとってはよいご供養になるかもしれません。
しかし、故人を手厚くお送りすることで、遺された人々が故人の死と向き合い、気持ちを整理するためにはお葬式をすることも必要なように思います。特に共に暮らしたご家族であればなおのことではないでしょうか。できれば、生前にご家族様同士でよく話し合われて、お葬式は行うが控えめにするなど、譲歩案を互いに出して合意を得ておくことが最良ではないでしょうか。
ご家族以外に見せないのは可能だと思います。葬儀社に伝えれば、そのように配慮をしてくれます。また、家族だけで密葬し、火葬で遺骨にしてから葬式をする「骨葬」という方法をとる地域もあります。
ご家族の場合は、死を看取り、事実を確認するという権利があってしかるべきだと思いますし、死に顔も大切な思い出のひとつとして見たいと思ってくださるのではないでしょうか。
決まりはありませんが、端的にいうと「身内やごく親しい人だけで行うお葬式」です。ご遺族に加え、ご親族や故人と親しかった人に参列していただくかどうかは、お付き合いの事情や式の趣旨によって自由にお決めいただいてかまいません。
葬儀は、本人やご家族が信仰されている宗旨にしたがって行われることが多いですが、もちろん音楽葬などの無宗教葬の形式で行われることもあります。家族葬では、故人の仕事関係の方や親しくされていたご近所の方などの参列を控えていただく場合が多く、生前に親しくしていただいたことへの感謝をお伝えできないという側面や、そういった方々がお別れできないことから葬儀後に訪問を受けることが多くなってきています。そういった方々への感謝やお別れの場として、「感謝の会」を開くケースも増えてまいりました。
お葬式は仏教で行う決まりではありませんので、お坊さんをお呼びするのは必ずしも必要ではありませんし、仏教を信仰されている方すべてが、お坊さんをお願いしているわけでもないようです。
葬式をどのようにするかはそれぞれの自由ですが、日本人の風土や文化の根幹には仏教が深く根ざしており、無宗教の方でもお経をあげてもらうことで、安心を感じる方が多くいらっしゃるようです。
お葬式には、故人が遺された人々に別れを告げ、また、遺された人々も故人に別れを告げる、というふたつの側面があります。お坊さんをお呼びする、つまり宗教儀礼を行うことで、死別に対する感情にひと区切りをつけることは、強制されるべきことではありませんが、ごく自然な考えでもあると思います。
日本では埋葬(土葬)も許されており、火葬の期限は法律で特に定められておりません。(※地域によって土葬ができないのは、法律ではなく地方自治体による規制です)
ご遺体を保全するエンバーミングという処置がありますが、IFSA(日本遺体衛生保全協会)の自主規定で50日以内の制限が設けられています。四十九日法要の慣習などを考慮し、特別の事情がない限りはそれまでに行うことが妥当と思われます。
墓地、埋葬等に関する法律では、死体の埋葬・火葬を行う者がないとき、または判明しないときは、死亡地の市町村長が行うことになっているので、ご遺体は埋葬または火葬されるべきことが暗黙のルールになっています。
喪主挨拶
喪主は身近なご家族を亡くされて、深い悲しみを抱えながらご挨拶しなくてはなりません。平易な言葉を選んで、あまり上手に話そうとは考えずに、ゆっくりと話すようにしたほうがいいと思います。
まずは自己紹介をしてから、参列者に会葬のお礼を述べます。故人のよき人柄や自分にとってどんな存在であったかを話される方が多いですが、このとき身内のことだからといって謙遜する必要はありません。心に残る思い出を交えながら、生前の姿を語るのもよいでしょう。場合によっては、臨終のときの様子を報告し、最後は改めて会葬していただいたことにお礼を述べましょう。
弔辞
長くなりすぎないように、席を立って、弔辞を読み、再び席に戻るまで、5分程度を目安にしましょう。
まずは、故人との関係の説明も兼ねた簡潔な自己紹介をします。そして、故人の軌跡がご家族や参列者に感じてもらえるよう、交わした言葉や思い出深いエピソートを交えながら、故人を偲ぶとともに、遺志や偉業を引き継ぐ気持ちを述べてもよいでしょう。
難しい美辞麗句で飾り立てるより、自分の言葉で誠実に話すことが大切です。
ご遺族が配慮する余裕がないということも考えられますので、ご遺族が落ち着かれたころを見計らって、お家にお伺いしてお線香をあげさせていただくほうがいいかもしれません。ただ、訪問客が三々五々にやってくることが、かえって負担になることもあります。
家族葬であれば、会葬されない方のお供物(香典や献花)をお断りしていることも多いので、お葬式の当日ならば、弔電をお送りするのが妥当でしょうか。
それだけでは気持ちが済まないというのであれば、有志を募って、友人が主催する偲ぶ会を会費制で行われてはいかがでしょうか。ご遺族と開催日時を相談して、遺影と遺骨をご持参いただき、遺族に負担をかけたくないのであれば、それらを含めて会費でまかなえるように予算を組んでほしいと、葬儀社に依頼すれば提案してくれるはずです。
遺骨を捨てるためではなく、あくまで葬送するために散布することは認められていますが、遺骨の原型が残らないように細かく砕き、他人に迷惑がかかる場所を避けなくてはいけません。
ご自宅が将来にわたって保持できる保証、また、ご近所の方々の散骨に対する考え方を考慮すると、必ずしも問題がないとは言い切れません。なお、「撒いた」骨の上に土をかけると「埋めた」ことになります。埋める場合は墓地でなければなりませんのでお気を付けください(ご自宅に墓地を設けることはできません)。
ご親類が見つからない場合は市区町村で火葬され、無縁仏として合同墓に埋葬されることが多いです。
ご親類がいても外国など遠く離れて住んでいて、お葬式の手配ができない場合は、町内会や市民団体、もしくは葬儀社に相談してみましょう。かかる費用を確認の上、生前契約を交わしておき、お葬式が契約通りに行われたら遺産から支払うよう「祭祀主宰者の指定」と「負担付遺贈」を公正証書遺言にしておく方法もあります。あわせて、生前契約も公正証書にしておき、あらかじめご親類にその内容を連絡しておくとよいでしょう。